NEC PC-6001mk2 の電源トラブルは、大きく分けて電源ユニットからの電源出力の経路に問題がある場合と電源ユニットそのものに問題がある場合の2つがあります。
とりあえず、まずは電源トラブルの原因を探るべく、本体を早速ばらしていきます。ところどころシルバーとアイボリーの筐体の写真が混ざりますが、写真のストックの都合上お許しください。
お約束ですが、当サイトでご紹介した対処方法で必ず電源のトラブルが解消されるわけではありません。「過去に試したら直ったこともあった」くらいの情報と思っていただくと幸いです。当サイトの情報でなんらかの不具合が生じましても、こちらで責任を取ることはできませんので、お試しされる際は自己責任でよろしくお願い致します。
PC-6001mk2の分解
▼PC-6001mk2上側です。

▼下側です。四隅と上下の長辺の真ん中あたりにひとつずつの計6本のネジを外します。背面の真ん中のネジにはオリジナルだとワッシャーがついているはずですのでなくさないようにしっかりとっておきましょう。

▼上側のパネルを外します。

▼スピーカーケーブルのコネクタが接続されていますので、ちぎらないように根元のコネクタをしっかり持って丁寧に外します。

▼上側のパネルが完全に外れました。

▼次にキーボードの左上と右上の2か所のネジを外します。製造されたロットによって違いがありますが、アース線やアース用の金属板が一緒にねじ止めされています。
左上のパンチ穴の開いた大きなユニットが電源ユニットです。右隣の電源ユニットの1/3くらいの大きさのユニットがRFとビデオコンポジット端子をつなぐための映像ユニットです。

▼映像ユニットを外します。映像ユニットの修理とメンテナンスは別の記事でご紹介します。

▼電源ユニットのネジをすべて取り外し、コネクタも外します。

電源ラインのタンタルコンデンサのチェックと交換

電源ユニットはメイン基板に写真のコネクタで接続されています。このコネクタ周りにあるタンタルコンデンサが経年劣化でショートをしてしまうと電源が入らなくなります。
写真のタンタルコンデンサはすでに新品に交換した状態です。テスターで導通を測定して導通があるようならタンタルコンデンサが壊れています。導通するとブザーが鳴るテスターや導通チェッカーなどで測定するとわかりやすいです。
後述する電源ユニットの出力電圧を測定する場合にも重宝しますので、テスターをお持ちでない方はこれを機会に手に入れておくとよいと思います。
コンデンサは電荷を蓄えるまでは見かけ上、導通しているように見える状態になりますので、ブザーが鳴るタイプなら鳴りっぱなし、そうでない場合はしばらくしてもずっと抵抗がないという状態なら故障です。
電源ラインのメイン基板のタンタルコンデンサ表
オリジナルコンデンサ(青色)
| 容量 | 耐圧 | 耐熱 | 数量 | メーカー |
| 22μF | 16V | 85℃ | 4 | NECトーキン |
リプレイスコンデンサ
| 容量 | 耐圧 | 耐熱 | 数量 | メーカー |
| 22μF | 16V | 85℃ | 4 | Panasonic |
面倒くさかったら問答無用で写真に写っている4個をとりあえず交換してしまっても構いません。本来はきれいにはんだ付けするためにすべての部品を外してメイン基板を取り出し、部品を取り除いた後に新しいコンデンサを付けなおすのがベストですが、時間がなくて、仕上がりの美しさが特に気にならない方は、上記の写真のように、もともと付いていたコンデンサの足をできるだけ高いところでニッパーでカットしてその足に新しいコンデンサを付けるという時短技が使えます。めちゃ早いです( ´∀` )

PC-6001mk2の電源ユニットの修理とメンテナンス
電源ユニットのコンデンサの全交換
▼外した電源ユニットです。

▼取り外した電源ユニットのパンチ穴のついたカバーを外すと基盤が現れます。後の作業のために左下隅と右下隅のネジを外します。

▼基板を電源ユニットケースから外すときは、板の位置とか高さとかが外すとわからなくなってしまいますので、以下の写真の電源用レギュレーターの取り付け方法を覚えておくようにしてください。

▼電源スイッチ部分は写真の金具で上から押さえて取り付けられています。

コンデンサのパーツ番号

オリジナルコンデンサ部品表
| 番号 | 容量 | 耐圧 | 耐熱 | 数量 | メーカー |
| C5 | 100μF | 200V | 105℃ | 1 | Nitsuko |
| C9 | 3.3μF | 50V | 105℃ | 1 | 日本ケミコン |
| C12 | 10μF | 50V | 105℃ | 1 | Nitsuko |
| C13,14,15,16 | 220μF | 16V | 105℃ | 4 | Nitsuko |
| C17 | 2200μF | 10V | 105℃ | 1 | Nitsuko |
| C18,19 | 1μF | 50V | 105℃ | 2 | Nitsuko |
| C20 | 1000μF | 10V | 105℃ | 1 | Nitsuko |
以上のオリジナルのコンデンサを取り外します。
コンデンサの取り外しは量があるので、はんだ吸い取り機*1があればベストですが、値段が高いので、はんだ吸い取り線を使ってきれいにはんだを取り除いて取り外しておくと交換がスムーズです。
*1:はんだ吸い取り機は数万円するので、とても値段が高いのですが、作業時間と労力が段違いに減ります。部品取り付けの質にもかかわるので、余裕があればご用意することをお勧めします。
リプレイスコンデンサ部品表
| 番号 | 容量 | 耐圧 | 耐熱 | 数量 | メーカー |
| C5 | 100μF | 200V | 105℃ | 1 | TK 東信工業株式会社 |
| C9 | 3.3μF | 50V | 105℃ | 1 | TK 東信工業株式会社 |
| C12 | 10μF | 50V | 105℃ | 1 | 日本ケミコン |
| C13,14,15,16 | 220μF | 16V | 105℃ | 4 | ルビコン |
| C17 | 2200μF | 10V | 105℃ | 1 | ニチコン |
| C18,19 | 1μF | 50V | 105℃ | 2 | ルビコン |
| C20 | 1000μF | 25V | 105℃ | 1 | 日本ケミコン |
以上のリプレイスのコンデンサをはんだ付けします。

今後のために、すべて日本メーカー製のコンデンサを揃えました。電源部ですので、耐熱105℃は当たり前ですが、耐圧は部品の入手の都合で容量が同じであればオリジナルより高いものでもOKです。
▼すべてのコンデンサの付け替えが完了しました。

電源ユニットの出力電圧が不安定な場合の修理方法
PC-6001mk2を長年使っていると電源から供給される出力電圧がだんだん下がってきて、ついには起動できなくなってしまう場合があります。その場合は上で紹介したコンデンサの全交換の他に以下の半固定抵抗器の調整もしくは交換で直せることがあります。
電源ユニット内の半固定抵抗器の調整で電源出力を調整する
▼出力電圧を調整するための半固定抵抗器は以下の写真の「C19」の番号の下にある半固定抵抗器になります。

▼以下は取り外した半固定抵抗器です。
値は「3KΩ」です。半固定抵抗器の数値の読み方は1番目が抵抗値の値で、3番目がそのあとに続く0の数を示しています。これで見ると「30」に末尾の2の分の「00」を足して3000。3000Ωということで前述の「3KΩ」であることがわかります。
この部品の抵抗値調整部分をマイナスドライバーを使って回すと出力電圧が変化します。もともとついていた半固定抵抗器を回すだけで直ってしまう場合も多いですが、ここは後々のことを考えて新品と交換します。

電源ユニット内の半固定抵抗器の取り換え
▼電源ユニット基板の右上角にあった3KΩの半固定抵抗器を取り外します。

▼パターン部分をきれいにする

▼新しい半固定抵抗器を取り付けます。新しい半固定抵抗器は入手の都合上、3KΩを包含した値の5KΩを使用しています。

▼マスキングテープでは外れないように固定します。

▼ひっくり返してはんだ付けします。

電源ユニットから出力される電圧の測定と調整方法
▼電源ユニットから引き出されているコネクタのピンアサインです。

電源コネクタのピンアサイン表
| 青 | 黄 | オレンジ | 黒 | 赤 |
| -12V | Control コントロール |
+12V | GND グランド |
+5V |
※黄色のControlと黒色のGND(グランド)をショートすることで電源が流れます。
メイン基板にも正面から見て、この並びでコネクタがささっています。
出力電源の測定
▼こんな感じで適当な太さのはんだ線とブレッドボード用のワイヤーで測定用の電源出力を取り出します。


▼電源が出力されるように、黄(コントロール)、黒(GND)の基板から出ているラインをミノムシクリップでショートします。

▼経年劣化してくるとこのように電圧が下がります。赤(+5V)と黒(GND)を試しに測定してみると4.3V程度しか出力されていません。

上記の状態だったものが、前述の半固定抵抗の調整や交換を行うと、定格電圧に近い電圧を取り出すことができるようになります。
▼赤黒の+5V

▼オレンジ黒の+12V

▼青黒の-12V

定格ぴったりで調整しても良いのですが、今後また、徐々に下がっていくことを見越して0.2Vから0.3V程度高めに調整してもいいかもしれません。
電源ケーブルが切断されているPC-6001mk2の修理
オークションなどでたまに出ている電源ケーブルが切断されているPC-6001mk2ですが、電源ケーブルさえつながれば動くことがあります。
▼このような感じで電源スイッチ部分を外し、ゴムのブッシュが引っかかっているところをマイナスドライバーなどで外すとブッシュを引っこ抜くことができますので、穴の横の切り欠きから電源ケーブルを外します。

▼写真のようにケーブルのみを引き出せたら、同様の太さのAC100Vコンセントプラグのついたケーブルをはんだ付けして熱収縮チューブでカバーして元の通りに戻せば電源ケーブル修理完了です。

必要な道具と部品のまとめ
タンタルコンデンサのショートと電源ユニットから出力される電圧の確認用テスター
メイン基板電源経路の交換用タンタルコンデンサ

電源ユニットの交換用コンデンサ等のセット


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